| シャスポー | はぁ……。 まったく、なんでわざわざナップサックなんてものを 自分で、それも手縫いで作らなくちゃいけないんた。 |
|---|---|
| シャスポー | 売ってるものを買えば済むことだし、 貴銃士が裁縫を習ってなんの意味があるんだか、 理解に苦しむよ。 |
| タバティエール | まあまあ、そう言うなって。 軍人なら制服を軽く繕ったりボタンを付け直したり、 それくらいの針仕事はこなせるもんだろ? |
| タバティエール | 任務にミシンを抱えていくわけにはいかないしな。 それに、〇〇ちゃんの役に立つかもしれないぞ。 |
| シャスポー | マスターの役に……? |
| タバティエール | ああ。ほら、ケンタッキーなんかは、お手製のものを 〇〇ちゃんにプレゼントしたりしてるだろ。 器用なお前なら、そういうこともできるんじゃないか? |
| シャスポー | ふん。当然だよ。 僕なら彼らより、ずっと洗練された素敵な品を作って、 〇〇に贈れるに決まってる。 |
| シャスポー | その練習だと思えば、まぁ…… まったく無駄な授業というわけでもなさそうだ。 |
| タバティエール | ……おっと。噂をすればってやつだな。 よっ、〇〇ちゃん。 |
| 主人公 | 【なんだか盛り上がってたね】 【なんの話?】 |
| シャスポー | 授業について、ちょっと話をしてたんだ。 君は移動教室の途中かな? |
| シャスポー | ねぇ、もしよかったら、 今日のお昼を君と一緒に食べてもいいかな。 食堂でもいいし、中庭で花を見ながらっていうのも─── |
| 恭遠 | 〇〇君! |
| 恭遠 | ここにいたのか。 すまないが、急ぎの任務が入った。 貴銃士を連れて、すぐに現地に向かってくれないだろうか。 |
| 主人公 | 【わかりました】 【貴銃士の人選はどうしますか?】 |
| 恭遠 | そうだな……。 シャスポー、タバティエール。 君たちに頼んでも構わないかい? |
| シャスポー | ああ、もちろん。 すぐに準備をするよ。 |
| タバティエール | …………。 |
| シャスポー | おい、タバティエール。 何をぼーっとしている。 |
| タバティエール | いや……別に、ついて行く分には構わねぇが……。 絶対高貴に目覚めてない俺じゃあ、 何かあっても、盾になるくらいしかできないぜ? |
| タバティエール | 戦力が欲しいなら、他の貴銃士に頼んだ方がいい。 それが〇〇ちゃんのためにもなるはずだ。 |
| タバティエール | ……じゃあな。 シャスポー、〇〇ちゃん、気をつけてな。 |
| シャスポー | は……? |
| シャスポー | タバティエール……! あいつには、貴銃士としての誇りはないのか? 絶対高貴に目覚める努力もせずに、任務すら放棄するなんて! |
| シャスポー | ふんっ! どうせ、戦場で役に立たずに恥を晒すのが嫌なんだろう。 所詮は第二線級の銃だしね。 |
| シャスポー | 恭遠教官、他に出られそうな貴銃士は? |
| 恭遠 | うーん……マークスかライク・ツーに声をかけてみるか。 |
この出来事からしばらく……。
士官学校では、フランス出身の生徒有志による、
フランスの貴銃士の歓迎会が開かれていた。
| 生徒1 | 貴銃士の皆さん、フィルクレヴァート士官学校へようこそ! Santé! |
|---|---|
| 一同 | Santé!! |
| シャルルヴィル | こんなに盛大な会を生徒主催で開けるなんて、すごいね。 大歓迎でちょっとくすぐったい感じがするけど、 ボクたちが受け入れられてるんだって伝わってきて嬉しいな。 |
| グラース | さーて……。 可愛い小鳥たちのさえずりを楽しんでくるとするか。 |
| シャスポー | おい、グラース。 フランスの恥になるような真似はするなよ。 |
| グラース | ハッ! この僕が何をしたって恥にはならないさ。 余計なお世話だぜ、シャスポー。 |
| タバティエール | 俺は適当に食事でもつまむとするかねぇ。 |
| 生徒1 | あのっ……! 皆さんとご一緒しても構いませんか? |
| タバティエール | ああ……そのための会だろうし、 遠慮はいらないんじゃないか? な、シャスポー。 |
| シャスポー | もちろん。 素敵な会を開いてくれたことに感謝するよ。 せっかくの機会だし、交流を深めよう。 |
| 生徒2 | もしよろしければ、 皆さんの士官学校での暮らしについてお聞かせください! どんな授業をされているのかや、仲のいい方についてなど……! |
| グラース | そうだね……僕としては、 貴銃士よりも可憐で一生懸命な君の方に興味があるよ。 |
| 生徒3 | シャルルヴィル様はスイーツがお好きだと伺いました! 自分も甘いものが好きなので、 士官学校付近のお店について情報交換したいです! |
| シャルルヴィル | そうなんだ! きっと君の方が詳しいだろうから、 おすすめを教えてもらえると嬉しいな。 |
生徒たちと貴銃士たちが和気あいあいと語り合う中、
タバティエールがそっと、
その輪から抜け出ようとしていた。
| タバティエール | …………。 |
|---|---|
| 主人公 | 【タバティエール、どこへ?】 【どうかした?】 |
| タバティエール | ……〇〇ちゃん。 悪いが、俺はちょっと外すよ。 野暮用を思い出しちまってな。 |
| シャスポー | はぁ……? 用事なら先に済ませておけばよかっただろう。 |
| タバティエール | いやぁ、悪い悪い。 うっかりしてたぜ。 |
| シャスポー | とにかく、早く戻ってこいよ。 |
| タバティエール | へいへい、了解。 |
───30分後。
| シャスポー | あれ……? ねぇ、〇〇。 タバティエールがいないみたいだけど……。 |
|---|---|
| 主人公 | 【まだ戻っていない】 【何かあったのかな】 |
| シャスポー | まったく、あいつはどこをフラフラしてるんだ……! |
| シャスポー | ああ、心配いらないよ、〇〇。 僕がすぐに探して、連れ戻してくるから。 |
| 主人公 | 【シャスポーは主役だからここにいて】 【俺が探してくる】 |
| シャスポー | えっ……でも、君の手を煩わせたくはないな。 5分くらいなら僕が抜けても─── |
| シャルルヴィル | おーい、シャスポー。おいでよ。 みんながボクたちの話を聞きたくて、 待ちくたびれてるよ! |
| 生徒1 | ぜひお願いします! |
| 生徒2 | お2人のご活躍や、絶対高貴と絶対非道の力についても、 色々とお話を伺いたいですっ! |
〇〇は、生徒たちに囲まれたシャスポーに
手を振って合図をし、タバティエールを探すため会場を出た。
貴銃士クラスの教室や各階の廊下を見て回るが、
どこにもタバティエールの姿はない。
校舎を出た〇〇が、裏庭を覗いてみると……。
| タバティエール | お、〇〇ちゃん。 もしかして、俺を探しに来てくれたのかい? 悪いな。 |
|---|---|
| 主人公 | 【こんなところで何を?】 【野暮用は済んだ?】 |
| タバティエール | いや……ちょっと腹が痛くてな。 だけど、もう大丈夫だ。会場に戻るとするか。 |
歩き出したタバティエールだったが、
〇〇は彼からかすかに漂う匂いに気づいた。
| 主人公 | 【……煙草?】 |
|---|---|
| タバティエール | おっと……バレたか。さすがマスター。 〇〇ちゃんは誤魔化せないな。 |
| タバティエール | …………。 |
| タバティエール | ……実を言うと、ああいう雰囲気はどうにも苦手でね。 あの3人がいれば主役は十分だろうから、 ここで一休みしてたってわけだ。 |
| タバティエール | ああ、別にパーティーやら食事会やらに、 ぼーっと参加するくらいなら平気だぜ。 でも、主役として、キラキラした目で見つめられるのはなぁ。 |
| タバティエール | ほら、俺は銃の来歴からして、 第一線で活躍するんじゃなくて、後方支援向きだろ? 前に出るのは性に合わねぇんだわ。 |
| タバティエール | けど、革命戦争でタバティエール銃が活躍したからって、 フランスでは特に、俺まで英雄扱いだろ? |
| タバティエール | がっかりさせちまうのも悪いし、 あっちではそれっぽく振舞ってたんだが……。 |
| タバティエール | 俺にとっちゃあ、 革命戦争のタバティエールの名前が重いもんで、参るぜ。 |
| タバティエール | ……ドライゼは凄いよ。 レジスタンスのドライゼを尊敬して、 その背中に追いつこうと頑張ってる。 |
| タバティエール | そして実際、ドイツ支部の特別司令官として、 多くの兵を率いて活躍してるんだもんな。 |
| タバティエール | 俺は……あんな風にはなれない。 絶対高貴も使えないし、肉壁になるのが関の山さ。 そもそも、戦うこと自体が───……。 |
| タバティエール | はは……。 情けないこと言ってすまねぇな、〇〇ちゃん。 |
| タバティエール | フランスでは色々あったから、 俺がなんとかしないとって思ってたんだが…… イギリスに来たら、なんだか気が抜けちまったみたいだ。 |
| タバティエール | でも……これが本来の俺なんだよ。 がっかりさせてごめんな、〇〇ちゃん。 |
───休日の士官学校にて。
| シャルルヴィル | あっ、〇〇! ちょうどよかった〜! 君のこと探してたんだ。 |
|---|---|
| 主人公 | 【俺に何か用事が?】 【どうして?】 |
| シャルルヴィル | お昼ごはんはまだだよね? ボクと一緒に食堂に行こう♪ そしたらわかるから! |
| シャルルヴィル | ほら、早く早く〜! |
シャルルヴィルに半ば引っ張られながら、
〇〇が食堂へ向かうと、
休日だというのになぜかいつも以上に賑わっている。
| 生徒1 | お、美味しい……! すごく美味しい……!! |
|---|---|
| 生徒2 | なんだ……!? 一流レストランとコラボした特別メニューか!? |
| 生徒3 | 高級ホテルの料理人とかを新しく雇ったのかな? でも、今日限定かもしれないし……俺、おかわり!! |
| シャルルヴィル | うわぁ、すごい混雑……! 噂になるのが早すぎるよ〜! |
| 主人公 | 【これは一体……!?】 【イベントか何か……?】 |
| シャルルヴィル | えっと、それはね……。 |
| タバティエール | ……おっ、シャルルくん。 エーデルちゃんを連れて来てくれてありがとな。 特別メニューも、さっきちょうど出来上がったところだ。 |
| シャルルヴィル | やった〜! Merci、タバティさん♪ |
| タバティエール | 今日は特別に、俺がシェフをやらせてもらってるんだ。 学食のメニューも、今日だけのオリジナルさ! |
| タバティエール | しっかし……こんな騒ぎになるとは思わなかったぜ。 美味そうに食ってもらえるのは嬉しいが、 みんな、ちょっと大げさに褒めすぎじゃないか? |
| シャルルヴィル | ううん、そんなことないよ。 タバティさんが作る料理もスイーツも、どれも美味しいし! |
| タバティエール | ありがとな。 それじゃ、座って待っててくれ。 |
| シャルルヴィル | Oui♪ |
| シャルルヴィル | 今日はね、タバティさんに スイーツを作ってもらう約束してたんだ〜。 |
| シャルルヴィル | メニューはお任せだから、 何が出てくるのかボクも楽しみ! |
| ジョージ | んん〜! なんかウマそうな匂いがするっ! |
| シャルルヴィル | あ、ジョージ! ちょうどいいところに来たね。 一緒にタバティさんのスイーツ食べない? |
| ジョージ | Wow! いいのか!? すっげー楽しみだ! オレ、匂いだけでもうお腹ペコペコ! |
| タバディエール | お2人さん、お待たせ……って、 ジョージくんも参戦か! 取り皿を多めに持ってきといてよかったぜ。 |
| タバディエール | 本日のスペシャルメニュー、 苺のシャルロット・リュスだ。 |
| シャルルヴィル | わぁ〜! おいしそう! |
| 主人公 | 【綺麗!】 【可愛い!】 |
| ジョージ | Oh! Beautiful……! 苺がたっくさんで美味そうだなー! なあなあ、食べていいか!? |
| タバディエール | もちろんだ。 紅茶とコーヒーも用意してあるぞ。 Bon appétit! |
| シャルルヴィル | Merci! |
| シャルルヴィル | ん〜! 美味しい〜っ! さっすがタバティさん! きっと、リリエンフェルト家のパティシエも認める美味しさだよ! |
| 主人公 | 【プロだ……!】 【お店が開けそう!】 |
| ジョージ | 口の中がHappyで溢れるぜ……! |
| タバディエール | ははっ、ありがとな。 そんなに美味そうに食べてもらえるなら、 作った甲斐があったってもんだ。 |
| シャルルヴィル | お礼を言うのはボクたちの方だよ……! このビスキュイ・ア・ラ・キュイエールとか、 香りがすごくよくて、苺と最高にマッチしてる! |
| タバティエール | おっ、わかるかい? アーモンドプードルが入ってるんだよ。 |
| ジョージ | プードル……? 犬……っ!? |
| タバティエール | ははっ、違う違う。 アーモンドプードルってのは、アーモンドの粉末さ。 香りや食感が良くなるし、コクも増すんだ。 |
| ジョージ | ふーん……? よくわかんねーけど、最高にウマいことはわかるぜ! |
| ジョージ | ……っていうか、シャルルって タバティエールとも仲が良かったんだな! オレ以外にも仲良しがいてよかったぜ〜☆ |
| シャルルヴィル | ちょっ……! ボクにだっ て、ちゃんと仲のいい相手はいるよ。 ほら……〇〇とか、スフィーとか……! |
| ジョージ | HAHAHA! わりーわりー! |
| シャルルヴィル | ……タバティさんとは、 フランスにいた頃から少し交流があったしね。 |
シャルルヴィルは〇〇を手招きすると、
小さな声で話し始める。
| シャルルヴィル | あのね、〇〇。 これは内緒にしててほしいんだけど……。 |
|---|---|
| シャルルヴィル | タバティさんもボクと同じで、 クレマン・ド・リリエンフェルトのコレクションだったんだ。 |
| 主人公 | 【そうなんだ!?】 【銃時代からの付き合いなんだ】 |
| シャルルヴィル | ふふっ、実はね。 |
| ジョージ | ……ん? シャルル、何か言った? |
| シャルルヴィル | ううん、なんでもない。 それより、ジョージ。 口の端にクリームが付いてるよ。 |
| ジョージ | えっ、ここか!? |
| タバディエール | 反対だぜ、ジョージくん。 |
| シャルルヴィル | あははっ、クリームが髭みたいになってるよ、ジョージ。 |
| ジョージ | ええ〜っ!? |
| シャルルヴィル | ふぅ……なんだかフランスにいた頃より、 スイーツが美味しく感じるよ。 |
|---|---|
| シャルルヴィル | タバティさんもなんだか活き活きしてるし、 明るい気持ちがスイーツにもこもったのかな? |
| タバティエール | ははっ、褒めてくれてありがとな、シャルルくん。 そうは言っても……俺の料理は趣味だしなぁ。 リリエンフェルト家の超一流パティシエには遠く及ばないよ。 |
| タバディエール | それでも、特別美味しく感じるってことは…… シャルルくん自身の気持ちの部分もあるんじゃないか? |
| シャルルヴィル | ボクの気持ち……? |
| タバディエール | ああ。 あの頃より今のシャルルくんの方が、 ずっと明るくていい表情をしてるぜ? |
| シャルルヴィル | ……うん。 今は、〇〇やジョージ、スフィー…… みんなと自由に過ごせて、すごく楽しい。 |
| シャルルヴィル | タバティさんの言う通り、気持ちの面もあるかも。 でも、タバティさんの料理が美味しいのも本当だよ! |
| ジョージ | はぁ〜! ウマかった〜! でも、甘いもん食べたら、 今度はしょっぱいもんが欲しくなったなー。 |
| ジョージ | ……おっ! それ、残すのか? じゃあオレがもらうなっ! |
| 生徒4 | ええっ!? これは、最後の一口にとワザと─── |
| ジョージ | もーらいっと! |
| 生徒4 | ああっ! 僕のポテトがぁ〜! |
| ジョージ | Wow! Delicious! この付け合わせもぱりぱりで美味しいぜ! シャルル! 〇〇! 食ってみろよ! |
| シャルルヴィル | ちょっとジョージ! 人のものを勝手に食べちゃダメでしょ!? |
| タバディエール | ジョージくん、ローストビーフを仕込んでるから、 ちょっと待っててくれよ。 |
| ジョージ | マジで!? うおおおお、すっげー楽しみっ!! |
| 生徒4 | あのっ、僕もいただいていいですか!? |
| 生徒2 | わ、私もっ!! |
| タバティエール | おう。たくさん作ってるから、みんなで食べてくれ。 |
| 生徒たち | やったぁ!! |
| タバティエール | ははっ……料理ってのはいいもんだよなぁ。 こうやって純粋に、人を笑顔にできる。 |
| タバティエール | 銃───特に、俺みたいな軍用銃ってのは…… 撃って、傷つけることでしか、役に立てない。 |
| タバティエール | 笑顔に囲まれてる今の方が、血が流れる戦場よりずっといい。 こっちの方が、俺は役に立ててる気がするしな。 |
| タバティエール | そう思うと…… どうにも、任務に出る気になれないんだ。 |
| タバティエール | 俺より強くてやる気がある貴銃士なんて、 〇〇ちゃんの周りにはいっぱいいるしなぁ。 だから……俺は、こんな貴銃士でも構わないかい? |
| 主人公 | 【いいと思う】 【タバティエールがそうしたいなら】 |
| タバティエール | ……ありがとな、〇〇ちゃん。 |
───休日の午後、街で買い物をしていた
〇〇、タバティエール、グラーズだったが……。
近郊の森でアウトレイジャーが出没したという情報を受け、
現場へと急行することになった。
| グラース | ───心銃! |
|---|---|
| アウトレイジャー | グァアアア……ッ!! |
| グラース | どうだ、〇〇。 一発で仕留めてやったぞ。 |
| グラース | 僕にかかれば、アウトレイジャー数体程度こんなもんだ。 お前の傷も、たいして悪化してないだろ? |
| 主人公 | 【ありがとう】 【助かった】 |
| グラース | おう。大いに感謝しろよ? |
| タバティエール | …………。 |
| グラース | なんだよ、タバティエール。変な顔して。 邪魔者は片付いたし、ぼーっとしてねぇで買い物に戻るぞ。 |
| タバティエール | いや……すごいもんだなって感心してたんだ。 |
| グラース | はぁ……? 今頃僕のすごさに気づいたのか? それに、たった2体くらい、 絶対非道か絶対高貴の力があれば、楽勝だろ。 |
| タバティエール | そういうもんかねぇ。 |
| グラース | ま、他の貴銃士は、 僕ほどあっさり奴らを倒せないかもしれないけどな。ははっ! |
| グラース | ああ……そういえば、 お前はまだ、まともに戦えないんだったっけ。 |
| タバティエール | まぁな。 絶対高貴には相変わらず目覚められてないもんで。 |
| グラース | ふぅん……? つーか、お前も僕と同じで 金属薬莢の弾丸が使えるんじゃなかったか? |
| タバティエール | ん……? そうだな、フルメタルだったり、一部だけだったりするが。 |
| グラース | 後装式で、金属薬莢の弾丸も使える……。 年式的にはちょっと古いけど、 お前も、『こっち』側なんじゃねーの? |
| タバティエール | …………。 いや……。 |
| タバティエール | ……俺はどっちみち、大した戦力にはならねぇだろうし、 戦いは得意な奴に任せるよ。 |
| タバティエール | それに……。 |
| グラース | それに、なんだ? |
| タバティエール | なんでもないさ。 ほら、買い物に戻ろう。 |
| タバティエール | (できることなら、俺はもう、 撃ちたくないもんだ……) |
| タバティエール | (……人を……) |
───その日の深夜。
| タバティエール | はぁ……。 |
|---|---|
| タバティエール | (こんな夜更けに目が覚めちまった……参ったな。 寝つけそうにないし、何か飲んでくるとするか) |
| タバティエール | ……ん? |
| タバティエール | なんだ? 物音が……。 キッチンの方からか……? |
| タバティエール | 士官学校に泥棒に入ろうって奴はいないと思うが…… 誰か盗み食いでもしてるのかねぇ。 |
| タバティエー ル | やれやれ……とにかく、見に行ってみるか。 |
| タバティエール | おーい。 誰かいるのか─── |
キッチンに足を踏み入れたタバティエールが見たのは、
憤怒の表情を浮かべつつ、泡だて器でボウルの中身を
一心にかき回すジーグブルートの姿だった。
| ジーグブルート | ……!? なんだてめぇ! |
|---|---|
| タバティエール | うおっ……!? こんな時間に何してんだ……!? |
| ジーグブルート | 見りゃわかんだろうが。メレンゲ作ってんだよ! |
───それから10分後。
タバティエールは、ジーグブルートのお菓子作りを見学していた。
| タバティエール | へぇ……器用なもんだな。 無駄がない動きで、見てて気持ちいいくらいだ。 |
|---|---|
| ジーグブルート | ハッ、当ったり前だろ。 菓子作りってのは正確で細けぇ作業が大事だからな、 俺みたいな成功作様にかかればチョロいもんよ。 |
| タバティエール | しかし、なんでこんな時間に……? |
| ジーグブルート | ……別に。深い意味はねぇ。 集中して無心になれりゃ、気分転換になる。 それだけのことだ。 |
| タバティエール | ああ……なんだかわかる気がするな。 俺も料理やお菓子作りをするからさ。 |
| ジーグブルート | そうかよ。 |
| タバティエール | ところで、何を作ってるんだ? さっきオーブンに生地を入れていたからケーキかと思ったんだが、 果物が見当たらないな。 |
| ジーグブルート | 今作ってんのはビーネンシュティッヒだ。 果物も挟むアレンジをしてもいいが、 オーソドックスなクリームだけのやつにする。 |
| タバティエール | ビーネンシュティッヒ……か。 名前は聞いたことがあるが、食べたことはないな。 |
| ジーグブルート | 完成したら食わせてやるよ。 素朴な分ごまかしがきかねぇが、 この俺が作るんだから味の心配なんざ無駄だな。 |
| タバティエール | そいつは楽しみだ。 夜中に目が覚めたのはラッキーだったな。 |
| ジーグブルート | ……つーかよ。お前、なんだっけ? |
| タバティエール | おいおい、知らずにずっと話してたのか……? |
| タバティエール | 名乗りが遅れて悪かった。 俺はタバティエール。フランス生まれの後装式ライフルだ。 よろしくな。 |
| ジーグブルート | タバティエール……ドライゼの野郎と同じで、 普仏戦争で使われた銃だったな。 |
| タバティエール | おお、よく知ってるなぁ。 確かに、俺もシャスポーもドライゼも普仏戦争に投入された銃だ。 と言っても俺は、最前線には出なかったんだが。 |
| ジーグブルート | あ? なんでだよ。 |
| タバティエール | 俺は……フランス陸軍初の後装式ライフルでさ。 前装式の銃を後装式に改造して作られた銃ってこともあって、 すぐあとに作られた───最初から後装式のシャスポーには劣る。 |
| タバティエール | いや、この言い方はちょっと違うか。 最初から後装式だってことだけじゃなくて、 シャスポーの完成度は、あの時代飛び抜けてた。 |
| タバティエール | だから、最前線に立てるほどの力がなかった俺は、 二線級の部隊や防御用として使われたってわけさ。 |
| ジーグブルート | へえ。 要するにてめぇは失敗作ってわけか。ハハッ! |
| タバティエール | はは……そうだな。 |
| ジーグブルート | (……?) |
| タバティエール | 戦場の花形ってガラでもないし、 俺には後方支援がぴったりだ。 前線は、優秀なやつに任せるに限るよ。 |
| ジーグブルート | …………。 |
| ジーグブルート | ……なるほどな。 ハナっから諦めて、やる気もねぇってワケだ。 |
| タバティエール | ……ジーグブルート? |
| ジーグブルート | 貶されてんのに、ヘラヘラ笑いやがって……! てめぇみたいな野郎を見ると、無性に苛ついてきやがるぜ。 |
| タバティエール | ───っ。 |
| ジーグブルート | お前は─── |
ジーグブルートの言葉を、
焼き上がりを告げるオーブンの音が遮った。
| ジーグブルート | ……チッ。気が削がれた。 おい、ケーキクーラーを寄越せ。 |
|---|---|
| タバティエール | あ……ああ。 |
オーブンから焼きあがった生地を取り出したジーグブルートは、
表面のアーモンドがややこんがりしすぎているのを見て、
眉間に深い皺を刻んだ。
| ジーグブルート | クソ……少し焦げちまった。 |
|---|---|
| タバティエール | そうか? 別に気にする必要はないと思うが……。 香ばしくて美味そうだぜ。 |
| タバティエール |
このお菓子なら、 これくらいの焼き加減がちょうどいいんじゃないかねぇ。 香りだけでも最高だ。 |
| ジーグブルート | …………。 |
| ジーグブルート | 当然だろ。 俺はてめぇみたいな負け犬とは違う、 最高の成功作様だからな。 |
| タバティエール | ……そうだな。 |
| マークス | レポート用紙に鉛筆、消しゴム、 ファイルと定規……よし。 買い物リストのターゲットはコンプリートした。 |
|---|---|
| マークス | マスター、他に必要なものはあるか? それか、寄りたい店があれば遠慮なく言ってほしい。 俺は、マスターが行きたいところに行きたいんだ。 |
| 主人公 | 【どこかで昼食にしようか】 【カフェに寄ってみる?】 |
| マークス | ああ、それはいいな。 マスターが作るカレーに勝るものはないが、 腹を満たしたい。 |
| マークス | 美味そうな店は……。 |
周囲を見回したマークスは、
ある一店に目をとめた。
| マークス | マスター、あの店を見てくれ。列ができているぞ。 何か、よっぽど美味いものでもあるのか……? ちょっと行ってみよう! |
|---|---|
| タバティエール | ……おっ。 〇〇ちゃんにマークスくん。奇遇だな。 |
| マークス | タバティエール……! あんたが並んでるってことは、 やっぱりここは、相当美味いものがある店らしいな。 カレーの店……にしては、匂いがしないが。 |
| タバティエール | ははっ、そりゃそうだ。 パティスリーだからな。 |
| 主人公 | 【お気に入りのお店?】 【何か欲しいものが?】 |
| タバティエール | ま、そんなとこさ。この辺りで指折りの名店だし、 シャスポーも前に「悪くない」って言ってたから…… 今日も何か、あいつが気に入るもんがあることを祈るよ。 |
| マークス | ん……? 食べるのは、あんたじゃないのか? |
| タバティエール | 俺も食べることになるだろうが、 ここに来たのはシャスポーのお達しさ。 |
| タバティエール | 今日は湿度が高いから、ご機嫌斜めでねぇ。 |
| 主人公 | 【手に持っている他の袋は?】 【もう調達は終わっているように見えるけど】 |
| タバティエール | ああ、これかい? 実は、ここで3軒目のパティスリーなんだ。 |
| タバティエール | 前にも似たようなことがあって、 看板メニューの1品だけ買って帰ったら、 気分のものじゃなかったらしくて、余計に不機嫌にさせちまった。 |
| タバティエール | 今回は、どっしりしたチョコレート系から、クリーム系、 フルーツメインのあっさり系まで幅広くそろえようと思ってね。 さて、どれかで満足してくれりゃあいいんだが……。 |
| マークス | タバティエール……。 あんたは、シャスポーのためにそこまでするのか……。 |
| マークス | ……あんたに比べると、俺はずっと甘かった。 あんたのその姿勢……確か、献身というやつだな。 俺も、大いに見習うべきところがある……! |
| マークス | マスター! 今日は何が食べたい気分だ? 俺も、マスターのために美味そうなものを色々集めてくるぞ。 何がいい? 命令をくれ! |
| 主人公 | 【落ち着いて、マークス】 【そこまでしなくていい】 |
| マークス | でも、タバティエールはやっている。 だったら、俺だってやるべきじゃないのか? |
| タバティエール | マークスくんは、マスターの“相棒”なんだろ? 俺は……シャスポーの従僕みたいなもんだからなぁ。 俺と同じようにする必要はないんだぜ。 |
| マークス | そうか……。 なるほど? そういうことなら、わかった。 |
───数時間後。
士官学校に戻ったエーデルとマークスは、
寮の談話室でタバティエールの姿を見つけた。
| タバティエール | ……はぁ。 |
|---|---|
| マークス | おい、タバティエール。 何かあったのか? 顔が……濁っている。 |
| タバティエール | それを言うなら曇ってる、じゃないかねぇ。 ……いや、それより、心配してくれてありがとな。 別に、大したことじゃないんだ。 |
| マークス | そうなのか。 ケーキが美味しくなかったわけではないんだな。 |
| タバティエール | ああ。ケーキはちゃんと美味いよ。 ただ……この量を処理するのは骨が折れるからさ。 |
タバティエールの前には、
シャスポーのために用意したはずの
ケーキが入った箱がいくつも並んでいる。
| 主人公 | 【シャスポーの様子は?】 【ケーキ、受け取ってもらえなかった?】 |
|---|---|
| タバティエール | いや……受け取ってくれたぜ。 1つだけ、だけどな。 |
| マークス | たったの1つだけ……!? せっかく、あんたが苦労して色々買ったのにか。 |
| タバティエール | おーい、シャスポー。 ご所望の甘いもん、適当に買って来たぜ。 食えそうなものを選んでくれ。 |
|---|---|
| シャスポー | ………………。 |
| タバティエール | ほら、ピーチのジュレ、フレジェ、 ベリーのタルト、テリーヌ・オ・ショコラ クレームブリュレと、ミルフィーユなんかもあるぞ。 |
| シャスポー | クレームブリュレだけでいい。 あとはいらないから好きにしろ。 |
| シャスポー | ……余計に買いすぎだろう。 僕がそんなにたくさん食べるとでも思ったのか? |
| タバティエール | ……やれやれ……。 |
| タバティエール | ……ってなわけだ。 何度も買いに出るのは手間だからって、確かに買い過ぎたよ。 生菓子は今日中に食べないと傷んじまうってのにな。 |
|---|---|
| 主人公 | 【一緒に食べても構わない?】 【俺とマークスも食べていいかな】 |
| タバティエール | もちろんだ。 いやぁ、助かるぜ! |
| タバティエール | よーし、待っててくれ。 すぐ紅茶を淹れる。 |
| マークス | んん……! 美味いな、これ。 甘いだけじゃなくて、なんだか……複雑で、深い味がするぞ。 |
|---|---|
| 主人公 | 【こっちも美味しい!】 【いくらでも食べられそう】 |
| タバティエール | ははっ! 君たちが喜んでくれるなら、 店をはしごしてあれこれ買った甲斐があったってもんだ。 |
| タバティエール | もしよかったら、ガレットも一緒に食べないか? あれも今日中に食べた方がいいからねぇ。 |
| シャスポー | ……おい、タバティエール。 |
| タバティエール | うおっ! シャスポー……どうしたんだ? |
| シャスポー | 〇〇とティータイムだなんて、 僕は聞いてないぞ。 |
| タバティエール | ……へっ? |
| シャスポー | ねぇ、〇〇。僕もいいかな? 休日の午後に、君とゆったりティータイムを楽しめたら、 きっと、この鬱陶しい湿気もあまり気にならなくなると思うんだ。 |
| 主人公 | 【もちろん】 【元々、シャスポーのためのケーキだから】 |
| シャスポー | Merci、〇〇。 |
| シャスポー | あれ……? 君が食べてるのは、大通りのお店の品だね。 あそこはタルト・タタンが絶品だってのに、 タバティエールはなんでミルフィーユを選んだんだか。 |
| シャスポー | もちろん、ミルフィーユも美味しいと思うけど…… 一番の名物を買わないなんて、理解に苦しむな。 |
| シャスポー | 〇〇、今度の休みは、僕と2人でお店に行こう。 君もきっと、あのタルト・タタンを気に入るはずだよ。 |
| 主人公 | 【タバティエールは頑張っていた】 【タバティエールにお礼を言った?】 |
| シャスポー | お礼……? |
| マークス | タバティエールはあんたのために、 いろんな店を巡ってケーキを買っていた。 マスターと俺は、街でタバティエールに会ったから知っている。 |
| マークス | あんたのためにわざわざ街へ出かけて ケーキを買い集めたんだから、 お礼を言うのは当たり前のことなんじゃないのか? |
| シャスポー | 街で会ったって……。おい、タバティエール。 〇〇に手伝わせたりはしてないだろうな? |
| タバティエール | い、いや。 偶然会っただけだよ。 な、〇〇ちゃん? |
| シャスポー | そう……なら、いいけど。 はぁ。また頭が痛くなってきた……。 |
| シャスポー | ……〇〇、ごめんね。僕は部屋に戻るよ。 楽しい時間をありがとう。 |
| マークス | ……フランスでは暗い顔をして大人しかったが、 あいつはあんな奴だったのか。 |
| マークス | タバティエール。 あんたはあいつにあんな態度を取られて、ムカつかないのか? なんで、あいつにそこまでしてやる? |
| タバティエール | うーん……俺はあいつの使い走りくらいでちょうどいいからな。 これでいいんだよ。 |
| タバティエール | それに…… これくらいであいつの気が休まるなら、安いもんさ。 |
| マークス | ……? |
| タバティエール | それに…… これくらいであいつの気が休まるなら、安いもんさ |
|---|---|
| 主人公 | 【どういうこと?】 【シャスポーを気にかけるのには理由が?】 |
| タバティエール | …………。 |
| タバティエール | フランスにいた頃のことは、 〇〇ちゃんたちも知ってるだろ? |
| タバティエール | 俺は、あんなことになっちまったあいつの支えに─── 味方になりたかった。 だが、会いに行ったところで、ろくに話もできず仕舞いだ。 |
| タバティエール | そして……いつだったか、顔を合わせた時、 あいつと口論になったことがある。 |
| シャスポー | しつこいぞ! もう僕に構うな! お前には、僕のことなんて何もわからないだろう! |
|---|---|
| タバティエール | わかるさ! 俺たちは普仏戦争で使われた、戦友じゃないか! |
| シャスポー | 戦友だと……!? 普仏戦争のあとで、僕が何に使われたか…… お前も知らないはずがない! |
| タバティエール | ああ……当然、知ってる。 俺も、あの惨劇の中で使われたんだからな。 お前に罪があるなら、俺にだって罪がある。 |
| シャスポー | いいや……違う! お前の持ち主はコミューン側だったんだろ……! |
| シャスポー | 僕は……僕が、パリ市民を殺したんだ。 数え切れないくらい……たくさんの命を奪った。 この身に血が染みつくほどにな……! |
| シャスポー | 僕とお前は、違う。 犠牲者側にいたお前には……わかるはずがない。 理解したなら、いい加減僕の前から消えてくれ! |
| タバティエール | シャスポー……。 |
| マークス | コミューン……? って、なんだ。 |
|---|---|
| 主人公 | 【パリ・コミューン……】 【パリで起きた惨劇だよ】 |
| タバティエール | ああ……コミューンってのは、 普仏戦争後にパリ市民が樹立した、革命自治体のことだ。 |
| タバティエール | プロイセンとの講和に反対する市民と国防臨時政府が対立して、 フランス人同士で血で血を洗うような戦いを 繰り広げていたんだ。 |
俺───タバティエール銃は1867年に作られ、
普仏戦争では、フランス軍の後方支援部隊の兵士に使われた。
パリ・コミューンの鎮圧でも、同じ兵士の手にあったが……
市街戦が激化する中で、彼はコミューン兵士の銃弾に倒れ───
こと切れた彼から奪われた銃は持ち主を変え、
今度はコミューン兵士の武器として、
ヴェルサイユ軍の兵士へ銃口を向けることになった。
| コミューン兵士1 | 防衛ラインを越えさせるな! もっとだ! バリケードを強化しろ!! |
|---|---|
| コミューン兵士2 | くそっ……弾薬をくれ! お前ら! 火炎瓶でもレンガでもなんでもいい! 奴らに投げて食い止めるんだ! |
| ヴェルサイユ軍兵士1 | ぐぁぁっ……! |
| ヴェルサイユ軍兵士2 | おい、女子供でも油断するな! 抵抗する者に容赦はするな、鎮圧を急げ!! |
| コミューン兵士1 | うっ……! |
市街地での激しい戦闘が続き、やがてヴェルサイユ軍の
タバティエール銃を奪ったコミューン兵士もまた倒れる。
コミューンの防衛ラインが後退を続ける中、
ヴェルサイユ軍の年配の兵士が、
こと切れたコミューン兵士を静かに見下ろしていた。
| ヴェルサイユ軍兵士2 | おっさん、さっきレンガの投擲が掠めて、 銃身が凹んじまっただろ。 そいつのタバティエール銃と交換したらどうだ。 |
|---|---|
| ヴェルサイユ軍兵士2 | そいつにはもう、銃は必要ねぇからな。 |
| ヴェルサイユ軍兵士3 | …………。 |
年配の兵士は、銃を手にすると、
深くため息をつく。
| ヴェルサイユ軍3 | フランスを守るための軍にいたはずなんだがな……。 市民の屍の山を築くことになろうとは……。 |
|---|
「血の一週間」と呼ばれるこの市街戦で、
3万人近くの市民が虐殺されたとされている。
最終的には、ヴェルサイユ軍による
一方的な殺戮と化した戦いに心底嫌気が差したのか……。
年配の兵士は戦後、
タバティエール銃を布に包み、倉庫の奥で眠らせたのだった。
「もう二度と銃は撃たない」と誓って。
| タバティエール | ……戦場では、使えるものは何でも使って戦う。 その辺の石ころや石畳のレンガ、 家具や瓶、オイルも立派な武器だ。 |
|---|---|
| タバティエール | まして銃や弾薬なら、敵だろうが味方だろうが、 倒れた奴からどんどん奪って使う。 |
| タバティエール | そういう状況の中で、 俺はヴェルサイユ軍でもコミューン側でも使われたが…… シャスポーは、たまたまそうじゃなかった。 |
| タバティエール | ……ただ、それだけの違いだ。 だが、シャスポーにとっては、 それがとてつもなく大きな違いなんだ……。 |
| タバティエール | 過去は、どう頑張っても変えられない。 俺は、前線もあいつに任せちまったから…… せめて、少しでも気が晴れるようにしてやりたいんだ。 |
| タバティエール | ……っと、すまねぇ。 話題がこれじゃあ、せっかくのケーキも楽しめないよな。 |
| タバティエール | 紅茶のおかわりを淹れてくるよ。 じゃあな。 |
| 恭遠 | よーし、みんな揃っているな。 今月の月間課題テーマは、『郷土の名産品』だ。 |
|---|---|
| 恭遠 | 貴銃士の君たちは、国を代表する存在として、 公の場に出ることも多いだろう。 |
| 恭遠 | そういう時の話題としてもちょうどいいはずだから、 この期に改めて、ゆかりのある地域や興味がある地域の 名産品について、理解を深めてほしい。 |
| 恭遠 | 各個で取り組んでもいいし、 グループで協力して取り組んでもいい。やり方は自由だ。 喧嘩くらいなら仕方ないが、乱闘は厳禁だぞ! |
| シャスポー | 名産品か……。 フランスは色々な分野で優れているから、何に着目するか迷うな。 |
|---|---|
| タバティエール | 海外でも人気が高いのは、チーズやらワインかねぇ。 |
| 十手 | むむ……っ! わいん、ってやつは、確か葡萄酒のことだったかな。 日本酒とは色からしてまったく違うし、興味深いよ。 |
| 十手 | 各地の名酒を飲み比べて、感想をまとめる…… なんてのも面白そうだ。 ま、日本酒目当てにわざわざ日本に行くわけにもいかないんだが。 |
| シャスポー | ……日本は遠いけど、フランスならいいんじゃないかい? |
| 十手 | へっ? |
| シャスポー | イギリスは曇りや雨が多くてじめじめしているから、 近頃いい加減うんざりしてたところだったんだ。 |
| シャスポー | うん、ちょうどいいよ。 前々から〇〇にフランスを案内したいと思ってたし、 課題のためなら名目も十分だろう。フランスに行こう! |
| タバティエール | それは……ありだな。 気になるワイナリーがあるから、 許可が取れたらそこに行ってみたいもんだ。 |
| シャスポー | よし、恭遠教官の許可を取り付けたら、 〇〇に予定を聞きにいこう。 |
| タバティエール | 決まりだな! |
| 十手 | ええっ、ちょ、2人とも……!? |
───それから約1週間後。
タバティエール、シャスポー、十手、〇〇の4人は、
ワイナリーを目指し、フランス山間部の村への道を進んでいた。
| 十手 | ん〜! のどかなところだなぁ……。 空気が澄んでいて美味しいよ。 |
|---|---|
| シャスポー | おい、タバティエール。 本当にこの道で合ってるんだろうな? ほとんど獣道じゃないか……! |
| タバティエール | 途中の村でも確認したし、 1本道だから間違いないはずだぜ。 |
| タバティエール | けど……悪いな、〇〇ちゃん。 君は学生だからワインは飲めないってのに、 休日返上で山歩きに付き合わせちまってさ。 |
| 主人公 | 【こういう旅もいいと思う】 【冒険みたいで楽しい】 |
| シャスポー | 君が楽しんでくれているならよかったけど…… パリの名所を案内できなかったのは少し残念だな。 次は、僕と一緒にパリの街を楽しもうね、〇〇。 |
| 十手 | ……おおっ! 向こうに建物が見えてきたぞ……! |
| 十手 | あれが、幻のわいんを作っているという、 ご夫婦の醸造所か……! |
───タバティエールの情報によると、
この先にあるワイナリーでは、伝統的な作り方を守り、
ごく限られた量のワインを生産しているそうだ。
〇〇たちがワイナリーの扉を叩くと、
柔和な目をした老夫婦が4人を温かく出迎えた。
| 老婦人 | あらあら、士官学校からのお客さんね。 遠いところをはるばるようこそ。 |
|---|---|
| 老紳士 | 若い人たちが興味を持って、 こんな山の中まで来てくれるとは、嬉しいもんだ。 何もない辺鄙なところですまないが、ゆっくりしていっておくれ。 |
一休みしたあと、老夫婦はさっそく、
4人にワイナリー案内をする。
| 老紳士 | そこの台は、収穫したぶどうの実を選別するためのものでね。 選果が終わったら実を潰して、この桶で発酵させるんだよ。 |
|---|---|
| 老婦人 | 醸しがいい具合にできたら、絞って液体だけにするの。 それから、また発酵。 そのあと樽に移して、熟成させていくのよ。 |
| 十手 | んん……ぶどうのいい香りが漂っていて、 なんだか癒されるなぁ……。 |
| シャスポー | 自然に、だけど綺麗に整ったぶどう畑の眺めも、 のどかで素敵ですね、ムッシュ、マダム。 |
| 十手 | ご夫妻は、もう長いことここに酒蔵を構えているのかい? |
| 老婦人 | そうねぇ。 結婚した次の年に山裾の村から移ったから、もう随分になるわ。 |
| 老紳士 | 気づけばあっという間の四十数年……。 すっかり老け込んでしまったよ。はっはっは。 |
| タバティエール | 四十年以上、か……。 …………。 |
| シャスポー | ……タバティエール? なんだ、いきなり黙り込んで。 |
| タバティエール | いや…… なんだか、そういうのっていいもんだなぁと思ったのさ。 |
| タバティエール | 大事な人とともに、ゆっくり時を重ねていくってのは、 どういう感じなんだろうな。 少し……憧れるよ。 |
| シャスポー | ……何を、妙なことを言ってるんだ。 僕たち貴銃士は老いない。 人と同じ時は歩めないだろう。 |
| タバティエール | ハハ、そうだよなぁ……。 |
ワイナリー見学のあと、〇〇たちは十手の提案で、
老夫婦の手伝いをすることになった。
| タバティエール | ……おっと、ちょっと待ってくれ。 その桶は重そうだ。俺が運ぶよ。 |
|---|---|
| 老婦人 | あらまあ! 力持ちねぇ。 |
| 老紳士 | 頼もしい助っ人だなぁ。 ずっといてほしいくらいだよ。 |
| タバティエール | ……そういえば、後継ぎは見てないな。 ワイン造りは重労働も多いだろうに、 夫婦2人だけでやってるのか……? |
| 老紳士 | 私らは子宝に恵まれず仕舞いでねぇ。 まぁ、いたとしても跡を継いでくれるとは限らんが……。 |
| 老婦人 | もしも後継者がいてくれたなら、あなたくらい─── いいえ、もっと年がいっているでしょうけど、 よかったろうなと今になって思うこともあるのよ。 |
| 老婦人 | ふふ……。 もしも、だなんて、考えても仕方のないことなのにねぇ。 |
| 老紳士 | 今日は、子供や孫がいるような気分を味わわせてもらったよ。 賑やかで楽しい時間だった。 ……本当にありがとう。 |
ワイナリーでの手伝いのあと、
思い思いの時間を過ごしていると、
〇〇のもとヘタバティエールがやって来る。
| タバティエール | ……〇〇ちゃん。 ちょっといいかい。 |
|---|---|
| タバティエール | あー……なんというか、貴銃士である俺が こんなことを言うなんて変だとわかっちゃいるんだが……。 |
| タバティエール | 俺は、今日ここで過ごしてみて、 妙にしっくりきたんだよ。 |
| タバティエール | 穏やかで、平和で、でも満ち足りていて……。 俺の居場所は、こういうところなんじゃないかって感じるんだ。 |
| タバティエール | ……前に、昔の話をしただろ? 俺がただの銃だった時───最後の持ち主は、 もう二度と銃は使いたくないと、強く思ってた。 |
| タバティエール | その願いのせいなのかはよくわからないが…… 俺自身、もう、戦いたくない。 銃なんて、撃ちたくないんだよ。 |
| タバティエール | 俺は……古い銃だし、絶対高貴にもなれない。 戦場に立つより、お菓子だとか料理だとかを作ってる方が、 ずっと人のためになってる気がする。 |
| タバティエール | こんな俺が、貴銃士である意味はあるのか? |
| タバティエール | ……それで、少し考えたんだが……。 |
| タバティエール | 〇〇ちゃん。 俺……しばらくここに残りたいんだ。 |
| タバティエール | ほら、力仕事は特に、助けがあった方がよさそうだろ? それに─── |
| シャスポー | タバティエール、お前……! |
| 十手 | ちょっ、シャスポー君……!? |
| シャスポー | ここに残る? 戦いたくないだと? 何を腑抜けたこと言ってる。 |
| シャスポー | お前は貴銃士だ。 それも、僕と違って、ぬぐい切れない血も罪もないのに……! |
| シャスポー | ……くっ! |
| タバティエール | ……っ、シャスポー……! |
| 十手 | タバティエール、〇〇君。 ここはひとつ、俺に任せてくれ! |
| 十手 | おーい! 待ってくれ、シャスポー君! |
| タバティエール | ………………。 |
───出ていったシャスポーを十手が追いかけていき、
その場にはタバティエールと〇〇が残された。
| タバティエール | やれやれ……今回は本気で怒らせちまったな。 いや、怒らせたっていうより、呆れられたって感じか。 |
|---|---|
| 主人公 | 【きっと大丈夫】 【十手が上手く連れ戻してくれるはず】 |
| タバティエール | だといいんだが……。 |
| タバティエール | ……なぁ、さっきの話、〇〇ちゃんはどう思う? 君にも呆れられちまったかな。 |
| 主人公 | 【ちょっと悩む】 【どんな決断でも応援したいと思う】 |
| タバティエール | 本当か……? ありがとな、〇〇ちゃん。 その気持ちを、何より嬉しく思うぜ。 |
| タバティエール | あとは、シャスポーをどう説得するかだが……。 いやいや。 それ以前に、ワイナリーのオーナー夫妻に相談しないとだな。 |
その時、外から茂みが揺れる音や、
近づいてくる複数の足音が2人の耳に届いた。
| タバティエール | ……おっ。 もうシャスポーたちが戻ってきたのか? すごいな、十手は。シャスポーをこんな短時間で─── |
|---|
窓から外を見たタバティエールは、
焦りをあらわに叫んだ。
| タバティエール | 伏せろっ!! |
|---|
タバティエールが〇〇を庇いつつ床に伏せた瞬間、
無数の弾丸がワイナリーを襲った。
| 老婦人 | ……っ、今の音は何……っ!? |
|---|---|
| タバティエール | 来るなっ! 窓から離れて伏せるんだ! |
| 老紳士 | 強盗かい……!? でもまさか、こんな田舎に……。 |
| 主人公 | 【襲撃犯は見えた?】 【敵の数は?】 |
| タバティエール | 見えたのは一瞬だったが、強盗じゃない。 あの姿は、アウトレイジャーだ……っ! 3体はいたと思うけど、確信は持てない。 |
| 主人公 | 【それだけわかれば十分!】 【応戦しよう】 |
| タバティエール | だが、どうするんだ、〇〇ちゃん。 俺たちだけじゃどうしようもない。 俺には……絶対高貴が使えないんだから。 |
| タバティエール | 2人は、どこか安全なところに隠れていてくれ。 地下室……ワインセラーか貯蔵庫に! |
| 老紳士 | あ、ああ……! |
頷いた老夫婦が地下室へ向かおうとしたが───。
| 老紳士 | うわあぁぁっ!!! |
|---|
ワイナリーが再び激しい攻撃にさらされて、
床に伏せたままなかなか動くことができない。
| タバティエール | くそっ! どうすりゃいい……! 単発式で絶対高貴もナシの俺じゃ、 敵を一瞬怯ませるくらいしかできない。 |
|---|---|
| タバティエール | そのあとハチの巣にされちまったら、 時間を稼げるとしてもほんの数秒だ……! |
| 主人公 | 【俺が応戦する】 【ハンドガンはある】 |
| タバティエール | やめろ、〇〇ちゃん! そんなの無茶だ! あいつらには、普通の弾丸がろくに効かないってのに……! |
| 主人公 | 【少しでも長く時間を稼げればいい】 【十手とシャスポーがすぐに戻るはず】 |
| タバティエール | だが……! |
| 老紳士 | ああ……私らのワインが……! |
| タバティエール | ……っ! |
アウトレイジャーの攻撃で、
ワイナリーの至る所が無残に破壊され、
発酵途中のワインが血のように流れ出ていく。
| タバティエール | …………。 |
|---|---|
| タバティエール | ……俺が行く。 |
| 主人公 | 【待って!】 【タバティエール!】 |
| タバティエール | 〇〇ちゃんはここにいてくれ。 マスターを守るのは貴銃士の役目だろ? |
| タバティエール | 俺は……人にはなれない。人と同じように、 穏やかに時を重ねて老いていくこともできない。 俺の……銃の居場所は、やっぱり戦場しかないんだ。 |
| タバティエール | だから、俺は戦うよ。 ……戦うしか、ないんだ。 |
その時、タバティエールの身体が淡く光り始める。
| タバティエール | この力は……。 |
|---|---|
| タバティエール | ははっ……そうか。 俺に必要だったのは、 この諦めと覚悟だったってわけか……。 |
| タバティエール | ───絶対高貴……! |
| アウトレイジャーたち | 壊、ス……殺ス……! |
| タバティエール | 心銃っ! |
| アウトレイジャーたち | ギャァアアア……!! |
| タバティエール | …………。 |
| シャスポー | ───〇〇ー! タバティエール!! |
| 十手 | みんな、無事か!? ああ、よかった……ご夫妻も大きな怪我はないみたいだね。 |
| 十手 | 一体何があったんだい? ここまでの被害……まさか、アウトレイジャーか……!? |
| シャスポー | タバティエール……お前が倒したんだな。 ……絶対高貴になれたのか。 |
| タバティエール | ……ああ。 |
| シャスポー | そうか……。 |
───翌日の午後。
被害を受けたワイナリーの片付けや簡易な修繕をあらかた済ませ、
〇〇たちは出立の時間を迎えた。
| シャスポー | ここの被害については、連合軍フランス支部に報告済みです。 何かしらの支援があるはずですよ。 それに、また奴らが現れた時に備えて派兵されますからね。 |
|---|---|
| 老紳士 | ありがとう……心強いよ。 |
| 十手 | まっこと、お世話になりました! ワイン造りについて見て、食べて、飲んで、学べて、 本当にいい経験になったよ。 |
| 老夫婦 | こちらこそ、素晴らしい思い出になったわ。 また遊びに来てちょうだいね。 |
| 十手 | ああ! 必ず! |
| タバティエール | あの襲撃はもしかすると、俺たちが来たことも何か影響して……。 本当に……申し訳なかった。 |
| 老婦人 | あなたが謝る必要なんてないのよ。 あなたは、私たちを守ってくれたじゃない。 あの時……あなたが立ち向かわなければ、私たちは死んでいたわ。 |
| 老紳士 | ワインも……発酵中だったものは駄目になってしまったが、 地下室はほとんど無事さ。 |
| 老紳士 | 熟成中のものはみんな残ってる。 ここから、また2人で立て直してみせるよ。 本当に、ありがとう。 |
| 老婦人 | また、あなたたちに会えると嬉しいわ。 〇〇さんがお酒を飲めるようになる時までは…… 私たちも、まだまだ頑張るからね。 |
| 主人公 | 【2人のワインを飲める日が楽しみです】 【どうかお元気で】 |
老夫婦と別れ、
一同はフィルクレヴァート士官学校への帰路についた。
| タバティエール | ……よっ、〇〇ちゃん。 |
|---|---|
| タバティエール | ……これまで、悪かったな。 色々迷惑をかけちまって。 |
| タバティエール | 随分と遠回りをしたが、やっとわかった。 俺は……どこまでいっても銃なんだってさ。 |
| タバティエール | 穏やかな時の中に身を置くんじゃなくて、 人の穏やかな時を守るために、俺は戦場に立つよ。 |
| タバティエール | ……それが、銃である俺の使命だからな。 |
───タバティエールたちがワイナリーから戻って
しばらく経った、とある休日のこと。
| 主人公 | 【タバティエール】 【部屋にいる?】 |
|---|---|
| タバティエール | ……開いてるぜ。 |
| タバティエール | ん……? ああ、〇〇ちゃんか。 どうしたんだい? |
| 主人公 | 【最近料理をしてないのが気になって】 【元気がないような気がして】 |
| タバティエール | そう見えるかい? だとしたら、心配かけてすまないな。 |
| タバティエール | ただ、俺は大丈夫だぜ。 ちょっとのんびりしたい気分なんだよ。 |
| タバティエール | なんだなんだ? また誰か来たのか? 開いているぞー。 |
| シャスポー | おい、なんで厨房にいないんだ。 お腹が空いた。 バベットステーキが食べたい。 |
| グラース | はぁ? ヒラメのムニエルの方が先だっての! |
| タバティエール | はぁ……へいへい。 |
| グラース | なんだよ、そのやる気のない返事は。 ついこの間まで、貴銃士をやめて料理人になるのかってくらい 手の込んだ料理やら菓子やらを作りまくってたくせに。 |
| シャスポー | まさか、もう飽きたのか? 士官学校の生徒からもヒンシュクを買うぞ。 |
| タバティエール | わかったわかった。ステーキとムニエルな。 作ってやるから待ってろ。 |
| シャスポー | 当たり前だ。 ほら、厨房に行くぞ! |
| グラース | 〇〇も来いよ。 お前もタバティエールの料理が食いたいんじゃねーの? 我慢なんざ、するもんじゃないぜ。 |
| タバティエール | はい、お待たせ。 バベットステーキとシタビラメのムニエル。 それと〇〇ちゃんにはポルチーニ茸のリゾットだ。 |
|---|---|
| 主人公 | 【いい香り……!】 【美味しそう!】 |
| タバティエール | Bon appétit! |
| グラース | んん……美味い。 腕は落ちてなかったらしいな。 |
| シャスポー | ……やっと調子が出てきたみたいじゃないか。 |
| タバティエール | ああ……そうだな。 なんだか、料理を作ってるうちに気分がすっきりしてきた。 |
| シャスポー | お前はこうして、動き回ってる方がいいんだから。 部屋に閉じこもったり、妙に静かにしてたり……。 そんなのはやめろ。いいな? |
| タバティエール | シャスポー……。 |
| タバティエール | へへ……。ありがとな。 |
───ある日の任務後。
| ラッセル | 〇〇君。 今日の任務は滞りなく済んだかい? |
|---|---|
| 主人公 | 【問題ありませんでした】 【はい、あとで報告書を提出します】 |
| ラッセル | それは何よりだ。 タバティエールも同行すると聞いて、 実は少し心配していたんだ。でも、杞憂だったな。 |
| ラッセル | ……彼は、任務に出たがらないと聞いていたが、 絶対高貴にも目覚めたし、近頃は任務への参加も多い。 この変化は、〇〇君のお陰かな。 |
| ラッセル | これからの君の活躍も、期待しているよ。 |
───数日後。
任務で帰りが夜遅くになったときのこと。
| グラース | こんな時間まで任務だったのか。 よく働くもんだなぁ、〇〇もタバティエールも。 |
|---|---|
| タバティエール | お疲れさん、〇〇ちゃん。 |
| 主人公 | 【タバティエールもお疲れ様】 【今日の任務もありがとう】 |
| タバティエール | ああ……。おやすみ。 |
シャワーを浴びて、
何か飲もうとキッチンへ向かったエーデルは、
料理をしているタバティエールと遭遇した。
| 主人公 | 【休まないの?】 【作戦後で疲れているはずじゃ……?】 |
|---|---|
| タバティエール | ははっ、大丈夫だ。 さすがに料理のし過ぎで倒れたりはしないぜ。 |
| タバティエール | …………。 |
| タバティエール | ……料理をしてないと、どうにも落ち着かないんだ。 |
| タバティエール | 料理を作らなくなったら…… 俺は、ただの武器になっちまう気がして……。 |
| タバティエール | ……悪い。妙なこと言っちまったな。 今のは忘れてくれ。 |
| タバティエール | 早く寝ろよ、〇〇ちゃん。 |
まだコメントがありません。